
今回はこんな疑問にお答えしていきます。
こんな疑問にお答えします!
- 鉄鋼商社マンの働き方ってどんな感じ?
- どんなことがシンドイの?
- 接待とかあるの?
- 鉄鋼業界の見通し
- この業界で働くメリットは?
目次
はじめに:簡単に自己紹介します。
こんにちは!諭吉と申します。
某商社で鉄鋼製品のトレーディングをやっています。
今回は、人気業界?の鉄鋼商社について、現役社員の私が様々な疑問にお答えしていきたいと思います。
*今回ご紹介する内容は、あくまで私の考えていることなので、若干(だいぶ?)偏見が混じっています。ご了承ください。
鉄鋼業界とは
文字通り鉄を取り扱う業界です。
分かる方は華麗なる一族とか、そういう世界をイメージしてもらうとわかりやすいと思います。(だいぶ今の時代とは異なりますが)
さて、日本には主な高炉メーカーが以下の通り、3社あります。
・日本製鉄
・JFEスチール
・神戸製鋼
*最近まで日鉄日新製鋼という会社もありましたが、日本製鉄に吸収合併されました。
高炉メーカーとは、高炉(=鉄を溶かす炉)を持っているメーカーのことです。
バレンタインの時に、女の子たちが鍋でチョコレートを溶かして作りますよね。鉄もだいたいああいう感じで作ります。この鉄を溶かして固める設備を持っているのが国内では上記の3社というわけです。
現在では、数年前の品質問題で神戸製鋼の規模が小さくなってしまったので、実質2強のような感じです。
これらの高炉メーカーから鉄を購入し、国内外のお客さんに販売する仕事を担っているのが鉄鋼商社です。
日本国内にはたくさんの鉄鋼専門商社と呼ばれる会社がありますが、メインどころでいうとこのあたりです。
・メタルワン(三菱商事と双日の共同出資会社)
・伊藤忠丸紅鉄鋼(伊藤忠商事と丸紅の共同出資会社)
・JFE商事(JFEスチールの子会社)
・日鉄物産(日本製鉄の子会社)
・阪和興業(関西・独立系)
・岡谷鋼機(東海・独立系)
このほかにも沢山ありますが、一般的に知られているのはこのぐらいまでだと思います。
詳しく知りたい方は、四季報を熟読してください!
私の実際の働き方をご紹介!
学生さんのOB訪問でも頻繁に、「普段どんなスケジュールで働いているんですか?」という質問を受けるので、ここで回答したいと思います。
ざっくりこんな感じです。(日によって全然違うのですが、だいたいこんな感じかと)
○現役商社マンのとある一日のスケジュール(出社時)
8:30:出社/とりあえずメールをざっくりチェック。Todoフォルダにぶち込む
9:00:本格的に稼働開始/北米の客先とのやりとりがメイン
12:00:同じ課の先輩とオッサン数人でランチ。
13:00:だいたい電話会議とかが入る。最近はTeamsで出来るので便利です。
15:00:ヨーロッパの客先が起きる/現地とのやりとり
17:00:海外の客先向けに見積もりをバンバン投げる。文量が多くてメール打つのシンドイ。あとは作業をひたすら対応
19-20:00:疲れたので帰る
ご覧の通り、全然Excitingではないです。
自分で書いてて悲しくなってきました。笑
インターナショナル感は無くはないですが、毎日やっているとなんとも思わなくなります。
あくまで一例であり、時には外出したりもありますが、9割以上はこんな感じのスケジュールです。
何がシンドイの?
私も学生時代はそうでしたが、鉄鋼業界=ブラックのイメージを持っている方が多いと思います。
ということで、私が入社して感じている鉄鋼業界ならでは?のしんどいポイントをご紹介していきます。
書類地獄
鉄鋼業界ならではかと思いますが、書類がめちゃくちゃ多い+細かいです。笑
あまりイメージも湧かないかもしれませんが、鉄はゴリゴリの化学の世界です。
学生時代のうるおぼえの元素記号がバンバン出てきます。まずはこれらの書類をしっかり理解するところから始まります。
また、鉄の仕事は基本的に数量がトン単位で金額もアホみたいに大きいので、間違えると大惨事です。
よって書類を作成しても、多くの人のチェックが入ります。
細かい作業が得意な人でないと、修正の嵐でメンタルがやられます。笑
メーカーが体育会系
日本の鉄鋼メーカーはものすごい旧体質かつ、体育会系です。メーカーさんはほぼ間違いなく、若手商社マンに厳しいです。
ただ、この業界独特なのは、なぜかメーカーのほうが立場が上ということです。驚くほどにめっちゃ上からです。笑

なんでこの業界がイビツなのかはよくわかりませんが、こんな理由かなあと整理しています。
・そもそも鉄を作れるメーカーが日本に数社しかない→商社はお願いして売ってもらわないといけない構図
・高度経済成長のプライド?的なモノがある→鉄は国家なり→鉄を作るメーカー=エラい?
・無駄に高学歴が多いので人を見下す癖がついている

最近は電通の事件もあり、パワハラ気質の人は減ったみたいです。(関係者に聞いた話ですが、コンプラ的にヤバい人の一部は子会社に左遷されたりしたそうです。)
色々と書きましたが、私自身そこまでブラックだとは思っていません。
確かにキツイ時もありますが、他の業界とくらべてどうかと聞かれるとそこまでじゃないと思います。
接待とかあるの?

鉄鋼商社マンといえば接待!
昔は男芸者と呼ばれていた頃もあったようです。
そんな私はというと、正直ほとんど接待に駆り出されることはありません^ ^(忘年会含めて年3-4回くらい)
コロナ後はもちろんのこと、コロナ前でさえほとんどありませんでした。国内商売が中心の鉄鋼商社マンはもっと接待だらけだと思いますが、私の場合はお客さんが全て海外なので、接待もほとんどないです。やはりお客さんが国内か、海外かというのが接待の多さにも比例するようです。
今の高炉メーカーは昔のように儲かっていない+コンプラが厳しいので、むやみやたらに接待に顔は出しません。これは商社も同じです。経費がジャブジャブの時代は終わりました。
現役若手社員が思う、鉄鋼業界の未来について

あくまで私の意見ですが、非常に厳しい時代が続くと思います。正直光が見えません。笑
競争力の低下
中国・韓国メーカーの台頭により、価格競争には世界的にはほとんど勝てません。技術の国・日本といっても、これまた中国メーカーの大躍進によって競争力がなくなってきています。トヨタのEVに使う、電磁鋼板という製品も今では中国材になろうとしています。(関連記事: https://motor-fan.jp/article/10015914)
*電磁鋼板は、これまで非常に高い技術が求められるということで、日本材がひいきにされてきました。
一方で、中国はアメリカとの通商問題のリスクが大きく、いつどうなるかはわかりません。このあたりの抜け道を探して商売できたらある程度生き残っていくことは可能かもしれませんね。
低い生産性
日本の鉄鋼メーカーの人はめちゃめちゃ働きます。
夜中でも平気でメールが返ってきます。元々そのような社風だったことがあるにせよ、あまり生産的に働いているようにも思いません。
特に感じるのは、海外メーカーの担当者はチャットでのやり取りが当たり前なのに対し、日本のメーカーとのやり取りは必ずメールです。
やっぱりチャットツールの方が圧倒的にコミュニケーションが早いです。
海外のメーカーだと、何かをお願いした時に、
わたし:〜したいんだけど、出来る?
海外メーカー:OK!(以上)
日本のメーカーの場合、
わたし:〜部長殿 いつもお世話になっております。云々〜〜 如何でしょうか?
日系メーカー:〜様 お世話になります。云々〜 お断りいたします。(チーン)
こんな感じです。
全然スピード感が違います。
チャットの話はあくまでも一例ですが、これ時間の無駄だなあってことがたくさんあります。
組織が異常にデカいので、このような無駄なモノを無くすのにも大変な労力がかかります。
結局、10年以上前から残り続けている無駄な仕事が結構残っているように思います。
え、良いところ全然なくね?

そう思った方、一応あります。
・給料レベルが高い
・コンプライアンスがしっかりしている
・海外経験を積む機会が多い
それぞれ解説していきます。
給料レベルが高い
鉄鋼商社の給料レベルは他の専門商社よりも高いです。
どこもそんなに儲かってはいないので、理由はなぜだか正直分かりませんが、他の業界の専門商社よりは高いです。
冒頭でもご紹介した鉄鋼商社は、どれも平均年収が1,000万円近くです。
メタルワンと伊藤忠丸紅鉄鋼は総合商社系ということもあり、給料レベルも突き抜けています。
・メタルワン(三菱商事と双日の共同出資会社)
・伊藤忠丸紅鉄鋼(伊藤忠商事と丸紅の共同出資会社)
・JFE商事(JFEスチールの子会社)
・日鉄物産(日本製鉄の子会社)
・阪和興業(関西・独立系)
・岡谷鋼機(東海・独立系)
こんな感じなので、イメージとしてはストレスをお金に換金しているイメージです。笑
コンプライアンスがしっかりしている
ご紹介した通り、取引先の高炉メーカーは非常に規模の大きい企業ということもあり、コンプライアンスがしっかりしています。
基本的に上から目線なのは間違い無いですが、パワハラまがいなことをされたことはほとんどありません。
私の会社では鉄以外の部門もありますが、業界によっては中小企業を相手にしているので、パワハラまがいのことがたくさんあったり、シンドイ接待があったりするようです。
海外経験を積む機会が多い
日本の鉄鋼商社は基本的に輸出商売が中心です。
どういうことかというと、お客さんのほとんどが海外だということです。
日本の鉄鋼商社の使命は、日本の高炉メーカー様の鉄を海外で売りさばくこと。
海外の鉄を買ってきて日本に輸入するなんてことは基本的に好まれる行いではありません。笑
結果的に、海外への輸出商売が中心になり、お客さんも海外がほとんどになります。
英語を使ったビジネス経験を積みたい方には非常にオススメな業界です。
*その他にも、商社で身に付くスキルについては、別記事でもご紹介しています。
【現役社員が解説】商社で働くと身に付くスキルについて詳細に解説します。
まとめ
今回は、現役社員の私が鉄鋼トレーダーの働き方についてご紹介してきました^ ^
ニッチ業界ということで、なかなかネットの情報が少ないのも事実ですが、本記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
おわり
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